興信所コラム
【M&A】企業のM&Aにおけるトラブルリスクの回避方法

探偵コラム

ニュース概要

株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)は2014年、キュレーションサイトを手がけるiemo株式会社(以下、iemo)および株式会社ペロリ(以下、ペロリ)を買収し、その後、さまざまなジャンルで合計10のキュレーションメディアを展開しました。

しかし、医療や健康に関する情報を扱っていた「WELQ」をはじめとする複数のサイトにおいて、信頼性に乏しい記事や著作権侵害の疑いがある内容が多数見つかり、社会的な批判を浴びる事態となりました。

特にクラウドソーシングを通じて低単価で記事を大量発注していた運営手法が問題視され、最終的にはDeNAが謝罪会見を開き、全キュレーションサイトの閉鎖に追い込まれました。

引用元:【M&Aの失敗事例5】DeNAのM&A失敗事例:トラブルの内容と著作権リスクへの対策も解説 | 弁護士法人M&A総合法律事務所M&Aトラブル対策サイト

M&Aが失敗してしまう理由とは?

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業の買収や統合を意味し、企業の分割や戦略的提携も含まれる場合もあります。

企業が事業領域を拡大するにあたって、既にその事業を行なっている企業を買収して統合することで、一から新規事業を立ち上げるコストを抑えられるというメリットがあります。

主に資金力のある大きな企業が行なえる手法で、買収される企業としても事業が頭打ちになっていたり継承が困難である場合にはまとまった収益につながります。

しかし、M&Aが成功する可能性は2〜4割ほどと言われており、失敗するリスクも十分に加味する必要があるでしょう。

M&Aの失敗につながる要因をいくつかご紹介します。

不十分なPMI(経営統合プロセス)

M&Aを行なうことは、風土や文化も異なる業界の企業と統合する可能性もあるため、新たな組織体制の構築に向けた流れであるPMIをシビアに進めていく必要があります。

しかし、不十分なPMIだと、双方の企業の従業員による衝突が発生してしまったり、モチベーション低下や離職につながる要因となり得ます。

 

目的が不明瞭なまま進行する

M&Aを行なう理由が明確でないと、従業員も会社の急激な体制変更に不安や不信感を覚え、離職の原因となることがあります。

 

統合後のシナジーの過大評価

M&Aによって生まれる相乗効果(シナジー)の見込みが甘い場合、想定していた目的が未達に終わる可能性も生じます。

目標を達成できなかった場合、M&Aの意味がなかったとなりますので、事前にどれだけのシナジーが見込めるかを隅々まで数値化しておくことが重要です。

 

デューデリジェンス(買収監査)不足

M&A実施前に、買収先の企業の潜在的なリスク(簿外債務、訴訟リスク、コンプライアンス違反、技術的な問題など)を洗い出しておかなかった結果、想定外のリスクによって損害を被る可能性があります。

 

実際に起きたM&Aの失敗事例

M&Aは主に資金力のある大手企業が行なうことが多い経営戦略ではありますが、大手企業であっても失敗する可能性は存在します。

代表例は、2014年10月にDeNAがキュレーションメディア事業への参入を目指してメディア会社2社の買収を発端に発生した「WELQ事件」です。

DeNAは2社を買収後、運営されていたメディアをそのまま引き継ぐ形で経営を進行しますが、その中の医療系情報を扱うサイト「WELQ」にて医師の監修を受けていない記事が多数掲載されていることが発覚しました。

それらの記事内容は科学的根拠に乏しく、著作権侵害の疑いも強かったため、DeNAの企業体制の問題が指摘される事態にまで発展しました。

問題の記事は内容の正確性ではなく、Googleの検索順位で上位を獲得することだけを目的とした記事であるため、「誤った情報を流布するメディア」として厳しい批判を浴びました。

また、買収先であったメディア2社の代表者は問題発生時には既にシンガポールに逃亡しており、その足取りを掴むことができなくなっています。

結果としてDeNAの株価は下落し、運営していたメディアの大部分は閉鎖。

買収前から掲載されていた法的根拠に乏しい記事掲載の責任は、すべてDeNA側が被ることとなってしまいました。

DeNA社内では、買収以前から買収先企業への懸念点は指摘されていたものの、そうした点を解消せずにM&Aに踏み切ったことも明らかになっています。

M&Aによって多大なリスクを被る前に、必ずデューデリジェンス調査を念入りに行なうことをおすすめします。

探偵はこの記事をどう読むか

トラブルリスク回避のためにはデューデリジェンスが必要不可欠です。
これは、M&Aや投資判断の際に行なわれ、リスクや機会を評価するための調査プロセスのことを指します。
デューデリジェンスはさまざまな種類にわけられ、今回は主にその3つをご紹介します。
事業(ビジネス)デューデリジェンス
対象の企業を包括する市場全体を評価し、またその市場におけるポジションなどを確認します。
その事業がM&Aの目的に適しており、なおかつ将来性などを内包しているかなどを調査することが可能です。

 

財務デューデリジェンス
企業の過去の財務、キャッシュフロー、負債の有無といった、財務状況を分析します。
この分析により、企業の収益性や安定性が明らかになります。

 

法務デューデリジェンス
企業の訴訟歴、知的財産権の状況などを確認します。
法的な問題やリスクを事前把握することが可能です。

法人興信所では、こうした企業に対する信用調査を行うことが可能であり、目的に応じて柔軟に、そして的確にご対応いたします。

潜在的リスクを把握し、のちに大きな損害を被らないよう、行動に移しましょう。

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