調査ファイル
マレーシアの企業調査|取引先の実態確認と現地法人の不正・贈賄対策
マレーシアの登記情報で分かるのは、役員や株主、住所、財務情報など、会社が届け出た内容までです。
その住所で実際に事業を行っているか、現地法人の社員が取引先と通じていないかは、現地で確かめる必要があります。
これらを確かめないままでいると、実態のない会社との取引を続けたり、社員の不正を見過ごしたりするおそれがあります。
さらにマレーシアの法律では、代理店などが会社のために賄賂を渡すと、相手が公務員でなくても、その会社が処罰の対象となります。
探偵が現地で事業の実態や、社員と取引先の関係を調査すれば、取引の継続や社員の処分を事実に基づいて判断でき、確認した内容を記録として残せます。
本記事では、登記情報で確認できる範囲、贈賄の処罰に備えた取引先・代理店の確認、現地法人の社員の不正を処分する際の手続きが分かります。
目次
マレーシアの会社について公開情報で確認できる範囲

新しい取引先や代理店を検討する際は、まず相手の会社の登録内容を確認することになります。
マレーシアの会社登記は、会社委員会(SSM)が管理しており、ジェトロの資料では「マレーシア会社登記所(CCM)」と表記されています。
会社の役員、株主、登録住所、届け出られた財務情報は、SSMの有料の情報提供サービスで取得できます。
ここでは、登記情報で分かる事項と、2024年に始まった実質的所有者の届出の扱いを確認できます。
会社の登記情報で分かる事項
SSMは、登録された会社の情報を有料で提供しています。
- 会社名、登録番号、設立日、会社の種類と状態
- 登録上の住所と事業所の住所、事業の内容
- 資本金、取締役・役員、株主
- 担保の設定状況と、届け出られた財務情報
取締役や株主の身分証番号から、その人物がほかにどの会社で役員や株主になっているかを調べるサービスもあります。
ただし、いずれも会社が届け出た内容であり、登録上の住所で実際に事業が行われているかどうかは、書類からは分かりません。
登録上の住所だけを置いている会社の見分け方は、バーチャルオフィスの会社とフロント企業の違いの記事でも確認できます。
引用元:マレーシア会社委員会(SSM)|Corporate Info
実質的所有者の情報は本人の同意なしに請求できない
マレーシア政府は2024年4月1日に改正会社法を施行し、会社の実質的所有者(会社を実質的に所有し、または支配する個人)を特定してSSMに届け出ることを義務付けました。
SSMに届け出られた実質的所有者の情報を請求できるのは、2025年1月10日に施行された規則により、次の者に限られています。
- 実質的所有者本人と、本人から書面で許可を受けた者(本人の情報に限る)
- マネーロンダリング防止法上の報告義務を負う機関
- マレーシア中央銀行と、国内の捜査機関
- 政府調達を行う連邦政府・州政府・地方自治体
取引を検討している企業は、相手方の実質的所有者から書面の同意を得ない限り、その情報をSSMに請求できないため、株主名簿に載らない支配者がいるかどうかは、別の方法で確かめる必要があります。
引用元:ジェトロ|外国企業の会社設立手続き・必要書類(マレーシア)、マレーシア連邦官報|Companies (Access to the Register and Information Relating to Beneficial Ownership) Regulations 2025[P.U.(A) 7/2025]第4条
汚職防止委員会法17A条のもとで求められる取引先の確認

マレーシアで事業を行う企業にとって、代理店や仲介者の選び方は、自社の刑事責任に関わります。
2020年6月1日に施行された汚職防止委員会法17A条により、会社の関係者が会社のために賄賂を渡した場合、会社そのものが処罰の対象となりました。
ここでは、会社が責任を問われる場面と、責任を免れるために求められる手続きを確認できます。
会社が責任を問われる場面
17A条の「関係者」には、取締役や社員のほか、会社のために、または会社に代わって業務を行う者も含まれます。
賄賂を渡す相手は、公務員に限られません。
たとえば、許認可の手続きを任せた代理店が役所の担当者に、受注に向けた交渉を任せた代理店が発注元の担当者に金品を渡した場合、いずれも、その代理店に業務を任せた会社が処罰の対象となります。
対象となる会社には、マレーシアで設立された現地法人のほか、マレーシアで事業を行う外国企業も含まれます。
罰金は、賄賂の価値の10倍か100万リンギットのいずれか高い額以上で、取締役など経営に関わる者も、罰金や20年以下の禁錮刑の対象となります。
引用元:ベーカー&マッケンジー法律事務所|マレーシア腐敗防止委員会法の改正による、新たな法人処罰制度(2020年11月16日)、Zul Rafique & Partners|Section 17A of the Malaysian Anti-Corruption Commission Act 2009、Skrine|Avoiding Corporate Criminal Liability for Corruption Offences
責任を免れるには「適切な手続」を証明する
17A条は、違反が起きた時点で贈賄を防ぐための適切な手続を設けていたことを会社が証明すれば、責任を免れると定めています。
手続が適切かどうかは、マレーシア首相府が公表したガイドラインに照らして判断され、ガイドラインは5つの原則を示しています。
- 経営陣による関与
- 汚職リスクの評価
- 管理措置(会社の性質・規模に応じたデューデリジェンスや財務管理)
- 運用の検証と監視
- 研修と社内外への周知
代理店や仲介者と契約する前に経歴や関係者を確認し、その結果を記録しておけば、違反が起きた時点で管理措置を行っていたことを示す材料となります。
代理店との契約より規模の大きい出資や買収の前に行う調査は、海外デューデリジェンス(DD)調査のページで確認できます。
契約の前に現地で調べる事項
SSMの会社情報だけでは、相手の説明が事実かどうかまでは判断できません。
探偵は、登録上の住所や事業所に出向き、事業の実態と、経営に関わる人物の経歴や取引関係を調査します。
ここでは、取引先や代理店について現地で調べる事項を確認できます。
事業所の実在と稼働状況
登録上の住所と事業所の住所に、事務所や倉庫、工場があるかを確認します。
人の出入りや車両の動き、看板の有無を、日と時間帯を変えて確かめることで、相手が説明した事業の規模と合っているかを判断できます。
経営者・実質的な支配者の経歴
SSMで取締役や株主として登録されている人物と、実際に交渉の窓口となっている人物が同じかを確認します。
株主名簿に載らない人物が経営を左右している場合は、現地での聞き取りや関係会社の調査から、その人物を特定できることがあります。
代理店・仲介者の背景
代理店や仲介者については、過去の取引でのトラブルの有無や、取引の相手方・公的機関の担当者との個人的な関係を調査します。
業界での評判とトラブルの有無
同業者や取引関係者への聞き取りから、支払いの遅れや納期の問題、訴訟の有無を確認します。
取引先の評判は、財務情報には表れない支払いの実態を知る手がかりとなります。
現地法人の社員の不正と処分の手続き

取引先に関わる不正は、購買や経理を任された現地法人の社員が、取引先や代理店と結びついて行うことがあります。
マレーシアの雇用法では、社員の非行を理由に解雇などの処分をするには、その前に会社が社内で審問(due inquiry)を行う必要があります。
ここでは、処分の前の審問と、審問のための停職の決まりを確認できます。
処分の前に会社が行う審問
雇用法第14条1項は、社員の非行を理由として、会社が審問を行ったうえで、予告なしの解雇、降格、その他の処分をすることを認めています。
処分として無給の停職を科す場合、その期間は2週間を超えられません。
2023年1月1日に施行された改正雇用法に伴う命令により、雇用法は一部の規定を除き、賃金の額にかかわらずすべての労働者に適用されることになりました。
なお、雇用法が適用されるのはマレー半島とラブアンで、サバ州・サラワク州には別の労働法令があります。
社員と取引先の社外での関係(親族関係や金銭のやり取りなど)は、帳簿や社内の記録だけでは分からないことがあり、探偵の調査はその事実を確かめて審問に示す材料を集めるものです。
審問のための停職は2週間まで
雇用法第14条2項により、会社は審問のために社員を停職させることができますが、その期間は2週間までで、賃金の半額以上を支払う必要があります。
審問の結果、非行が認められなかった場合は、差し引いた賃金を全額支払わなければなりません。
停職できる期間が限られているため、停職を始める前に社外での行動や取引先との関係を調べて証拠をそろえておけば、停職中の審問に使えます。
社員と取引先の癒着を立証する証拠については、ビジネスにおける癒着の記事でも確認できます。
引用元:Low & Partners|Employment Act 1955(英文)第14条、ジェトロ|外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用(マレーシア)
マレーシア調査の流れと費用
取引先の確認や現地法人の不正の調査では、費用の見通しを立てたうえで、社内の決裁を得る必要があります。
当社は2025年4月にタイ・バンコクに事務所を設け、東南アジア全域の調査体制を強化しています。
ここでは、ご依頼から報告までの手順と、法人・企業を対象とする調査の参考料金を確認できます。
ご依頼から報告書の提出まで
最初に、調査の対象となる取引先や代理店、社員、確認したい事項、不正が疑われる場合はその経緯と時期など、判明している範囲の事実をお伺いします。
- ご相談(電話・メール・LINE)
- ヒアリングとお見積り(無料)
- ご契約(調査目的・期間・費用・報告方法を書面で確認)
- 予備調査と本調査
- 調査報告書の提出
契約の予定日や停職を予定している時期をお知らせいただければ、その日から逆算して、調べる項目の順序を組み立てます。
詳しい手順は調査の流れで確認できます。
法人・企業を対象とするバックグラウンドチェックの参考料金
法人・企業を対象とする調査の参考料金は、次のとおりです。
- 難易度★:550,000円(税込)〜
- 難易度★★:825,000円(税込)〜
- 難易度★★★:1,650,000円(税込)〜
費用は、対象国、対象の数、調査の難易度、範囲と深さ、事前情報の量によって変わります。
ご予算をお示しいただければ、必要な項目に絞った調査計画をご提案します。
参考料金は海外バックグラウンドチェックのページにも掲載しています。
マレーシアの企業調査でよくある質問
代理店や仲介者だけを調べることもできますか?
はい、ご依頼いただけます。
代理店の会社名や担当者の名前が分かれば、SSMの会社情報の確認と、現地での経歴・関係者の調査を進めることができます。
調査報告書を、17A条への対応の記録として使えますか?
はい、社内の記録としてお使いいただけます。
報告書には、調査で確認した事実と、確認した日付・方法を記載します。
ただし、手続が適切だったかどうかは、ガイドラインに照らして個別に判断されるため、報告書だけで責任を免れることを約束するものではありません。
相手の会社に、調べていることが伝わりませんか?
調査は、相手に知られないことを前提に設計します。
聞き取りの相手や方法は、取引の状況をお伺いしたうえで選びます。
マレーシアの企業調査なら、ご相談ください
マレーシアの会社の役員・株主・財務情報はSSMの有料サービスで取得できますが、実質的所有者の情報は本人の同意なしには請求できず、登録上の住所での事業の実態も書類では分かりません。
代理店などが会社のために賄賂を渡した場合、会社が責任を免れるには、贈賄を防ぐ手続を設けていたことを証明しなければなりません。
現地法人で社員の不正が疑われる場合は、雇用法に沿って処分の前に社内で審問を行い、審問のための停職は2週間までに収める必要があります。
当社は、公開情報の確認から現地での聞き取り・行動の確認までを一つの調査として設計し、契約や処分の判断に用いる材料として報告書にまとめ、お渡しします。
取引先や代理店、社員の名前と、判明している事実だけでもご相談いただけます。
24時間受付のフリーダイヤル0120-862-506でも、ご相談をお受けしています。
ご相談とご依頼までの流れ
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まずはフリーダイヤル・お問い合わせメールフォーム・LINEよりお問い合わせ下さい。問題の概要や状況をお聞き致します。
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無料面談にて、電話やメール、LINEにて無料相談頂いた内容の詳細をお聞きし、お手伝い出来る調査やサポートをご提案致します。その際、お見積りをご提示致します。
お見積り内容には、調査期間・調査員数・調査方法・調査報告書の作成費などが含まれています。 -
お見積り金額・調査内容に十分ご納得頂けた場合、委任契約のお手続きに入ります。下記書面に署名捺印をして頂き、契約完了となります。書面には、調査目的・期間・費用の詳細・調査結果の報告方法・個人情報の取り扱いなどが記載されています。
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契約書面を基に予備調査、本調査の順に調査を実施します。その際、随時途中経過をご報告致します。追加調査が必要な場合は、都度ご相談下さい。
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全ての調査終了後、書面もしくはデータにて調査報告書を提出致します。必要に応じて各種専門家のご紹介やアドバイスなどのアフターサービスも行なっております。
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