調査ファイル
ベトナムの企業調査|取引先の実態と現地法人の不正を確認
ベトナムの取引先の会社名、法定代表者、所在地等は、登記で日本からも確認できます。
一方で、当該所在地における事業の実態や、現地法人の社員との関係は、登記簿では分かりません。
これらを確認しないまま取引を開始すれば、実態のない会社との取引を継続し、あるいは社員の不正を見過ごすおそれがあります。
探偵が現地で調査し、その結果を報告書にまとめることで、取引継続の可否を、確認された事実に基づいて判断できます。
本記事では、取引先の登記から判明する事項と現地で調査する事項、社員の不正を処分できる期限、調査費用の目安が分かります。
目次
取引先の登記情報と現地で調べる事項

取引を始める前や、取引を続けるかどうかを判断する際は、相手の会社が説明どおりに事業を営んでいるかを確かめる必要があります。
契約の前に登録ポータルで相手の登記を確かめ、登記に載らない事項を現地で調べると、確認の漏れを減らせます。
ここでは、ポータルで確認できる情報と、2025年7月に始まった実質的支配者の届出、現地で調べる事項を確認できます。
国家企業登録ポータルで確認できる情報
企業法第32条により、ベトナムの会社は登記の内容を国家企業登録ポータルで公示します。
- 企業登録証明書に記載された内容(会社名、企業番号、本店所在地、資本金、法定代表者など)
- 事業の業種
- 株式会社の場合は、創業時の株主と、外国投資家である株主の一覧
登記の内容が変わったときも、その変更をポータルで公示します。
公示の対象に決算書は含まれていないため、取引先の財務の状況は、ポータルの情報だけでは判断できません。
登録システムに保存されたその他の情報は、企業法第33条により、手数料を払って登録機関に提供を求めることができます。
引用元:ベトナム国会|企業法(59/2020/QH14)第32条・第33条
2025年7月に始まった実質的支配者の届出
2025年7月1日に施行された改正企業法により、会社は実質的支配者(会社の資本を実質的に持つ個人、または会社を支配する個人)の情報を集めて保存し、登記の手続きの際に当局へ届け出ることになりました。
2025年7月1日より前に設立された会社は、登記内容を変更する手続きの際に届け出ます。
設立が古く登記を変更していない会社では、実質的支配者の情報がまだ届け出られていない場合があり、取引先の実質的な所有者はポータルの情報だけでは分からないことがあります。
引用元:西村あさひ法律事務所|ベトナム:実質的支配者に関する要件および企業法の主な改正内容(2025年6月30日)
取引先について現地で調べる事項
登記に載るのは、会社が届け出た内容です。
- 登記上の所在地に事務所や工場があり、事業が営まれているか
- 法定代表者と、取引の窓口となっている人物が同じか
- 取引先の経営者や社員と、現地法人の社員に、親族・知人などのつながりがないか
- 取引先の評判や、過去の取引でのトラブルの有無
取引先と現地法人の社員のつながりが確認できれば、取引の見直しだけでなく、社員の不正を調べる際の材料にもなります。
出資や買収の前に行う調査は海外デューデリジェンス(DD)調査、登記上の住所だけの会社の見分け方はバーチャルオフィスの会社とフロント企業の違いの記事でも確認できます。
現地法人の社員の不正と懲戒の期限

取引先に関わる不正は、経理や購買を任された現地法人の社員が、取引先と結びついて行うことがあります。
ベトナムの労働法では、不正の事実をつかんでから処分するまでの時間に限りがあります。
ここでは、懲戒できる期間と、処分の手続きで会社に求められる事項を確認できます。
懲戒の期限は6か月・財産に関わる違反は12か月
ベトナムの労働法第123条では、懲戒できる期間を、違反の日から6か月と定めています。
会社の財務や財産、技術上・営業上の秘密の漏えいに直接関わる違反は、12か月です。
期限は違反が起きた日から数えるため、発覚が遅れるほど、残りの期間は短くなります。
社員が病気休暇中や勾留中、妊娠中のときのほか、窃盗・横領などについて権限のある機関の調査結果を待っている間も、懲戒はできません。
その期間が明けた時点で期限が切れているか、残りが60日に満たない場合に限り、期限を60日まで延ばせます。
横領のように会社の財産に直接関わる違反でも、期限は原則として違反の日から12か月のため、疑いが出た段階で調査の日程を組むことが、処分の可否を左右します。
引用元:ベトナム国会|労働法(45/2019/QH14)第122条〜第125条
処分の手続きで会社に求められる事項
労働法第122条は、懲戒の手続きについて次の4点を定めています。
- 会社が社員の過失を証明すること
- 社員が加入している職場の労働者代表組織が、手続きに参加すること
- 社員本人が出席し、自ら弁明するか、弁護士などに弁明を依頼できること
- 処分の経過を議事録に残すこと
解雇の対象になる行為は第125条に列挙されており、職場での窃盗・横領のほか、営業秘密の漏えいや会社の財産への重大な損害など、就業規則に定めた行為が含まれます。
キックバックは条文に名前が挙がっていないため、解雇を検討するときは、就業規則にどう定めているかを先に確かめることになります。
社員本人が弁明の場で否認することを前提に、会社は、取引先とのつながりや金銭の流れを示す記録をそろえておくことになります。
不正調査の進め方は不正調査のページでも確認できます。
社員を調べる際に押さえる個人データ保護法

ベトナムでは、2026年1月1日に個人データ保護法(91/2025/QH15)が施行されました。
システムなどの技術的な手段で社員のデータを集めた場合、その手段が法律に反していれば、集めたデータは処理も利用もできません。
ここでは、社員の調査に関わる規定と、違反した場合の罰金の上限を確認できます。
社員の調査に関わる3つの規定
社員の調査に関わるのは、労務管理での個人データの扱いを定めた第25条と、国外への移転を定めた第20条です。
- 技術的な手段で社員のデータを集める場合は、その手段を社員が知っていることが条件(第25条)
- 法律に反する技術的な手段で集めた社員のデータは、処理も利用もできない(第25条)
- 現地法人から日本の本社へ社員の個人データを送ることも、国外への移転にあたる(第20条)
国外へ移転する会社は、移転を始めた日から60日以内に影響評価の書類を当局へ提出する必要があります。
ただし、自社の社員の個人データをクラウドサービスに保存する場合は、この影響評価は要りません。
社内のメールや端末の記録を調査に使う場合は、社員にどう告知してきたかを現地の弁護士と確かめたうえで、調べる範囲を決めます。
引用元:ベトナム国会|個人データ保護法(91/2025/QH15)第8条・第20条・第25条・第38条
違反した場合の罰金の上限
第8条は、違反の内容に応じて行政処分の罰金を科すほか、刑事責任や損害賠償の対象にもなり得ると定めています。
会社に科される行政処分の罰金の上限は、違反の種類によって異なります。
- 国外への移転の規定違反:前年の売上高の5%
- 個人データの売買:違反で得た収入の10倍
- その他の違反:30億ドン
売上高や収入をもとに計算した額が30億ドンを下回る場合は、30億ドンが上限になり、個人が同じ違反をした場合の上限は会社の半分です。
社員の社外での行動の確認や、現地法人の社内での記録の収集は、この法律の範囲に収まる方法で行うことになります。
引用元:ベトナム国会|個人データ保護法(91/2025/QH15)第8条
ホーチミンの拠点による調査の流れと費用
取引先の確認や現地法人の不正の調査では、費用の見通しを立てたうえで、社内の決裁を得る必要があります。
当社は2021年4月にホーチミンに事務所を設けており、現地の調査員が調査を担当します。
ここでは、ご依頼から報告までの手順と、法人・企業を対象とする調査の参考料金を確認できます。
ご依頼から報告書の提出まで
最初に、調査の対象となる取引先や社員、確認したい事項、不正が疑われる場合はその経緯と時期など、判明している範囲の事実をお伺いします。
- ご相談(電話・メール・LINE)
- ヒアリングとお見積り(無料)
- ご契約(調査目的・期間・費用・報告方法を書面で確認)
- 予備調査と本調査
- 調査報告書の提出
違反が起きた時期をお知らせいただければ、懲戒の期限から逆算して、調べる項目の順序を組み立てます。
詳しい手順は調査の流れで確認できます。
法人・企業を対象とするバックグラウンドチェックの参考料金
法人・企業を対象とする調査の参考料金は、次のとおりです。
- 難易度★:550,000円(税込)〜
- 難易度★★:825,000円(税込)〜
- 難易度★★★:1,650,000円(税込)〜
費用は、調査員の人数、対象の数、調査の難易度、期間、事前情報の量と、現地での移動や日本からの調査員派遣の有無によって変わります。
ご予算をお示しいただければ、必要な項目に絞った調査計画をご提案します。
参考料金は海外バックグラウンドチェックのページにも掲載しています。
ベトナムの企業調査でよくある質問
取引を始める前の段階でも依頼できますか?
はい、ご依頼いただけます。
相手方の会社名と所在地が分かれば、登記の確認と現地での調査を、契約の前に進めることができます。
契約の予定日をお知らせいただければ、その日に間に合うよう、確かめる項目の順序を組み立てます。
不正に気づいてから時間がたっていても依頼できますか?
はい、ご依頼いただけます。
ただし、懲戒できる期間は違反の日から数えるため、違反がいつ起きたかによって、処分に使える調査の期間が変わります。
違反の時期が分かる範囲でお知らせいただければ、期限に間に合う調査の順序をご提案します。
調査報告書は、取引の判断や懲戒の手続き、現地の弁護士との相談に使えますか?
はい、相談の材料としてお使いいただけます。
報告書には、調査で確認した事実を記載します。
取引を続けるかどうかや、懲戒の可否と処分の内容は、報告書をもとに、法務部門や現地の弁護士と相談のうえで決めることになります。
ベトナムの企業調査なら、ご相談ください
ベトナムの取引先の登記は日本から確認できますが、所在地での事業の実態や現地法人の社員とのつながりは、登記簿では分かりません。
現地法人で社員の不正が疑われる場合、会社が懲戒できる期間は、原則として違反の日から6か月、財産に関わる違反は12か月です。
その期間内に、会社は社員の過失を証明し、社員が加入している労働者代表組織の参加や本人の弁明を経て処分を決めることになります。
社員の調査は、個人データ保護法の範囲に収める必要があります。
当社は、ホーチミンの事務所を拠点に、公開情報の確認から現地での聞き取り・行動の確認までを一つの調査として設計し、取引の見直しや懲戒の判断に用いる材料として報告書にまとめ、お渡しします。
取引先や社員の名前と、判明している事実だけでもご相談いただけます。
24時間受付のフリーダイヤル0120-862-506まで、お気軽にお電話ください。
ご相談とご依頼までの流れ
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まずはフリーダイヤル・お問い合わせメールフォーム・LINEよりお問い合わせ下さい。問題の概要や状況をお聞き致します。
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無料面談にて、電話やメール、LINEにて無料相談頂いた内容の詳細をお聞きし、お手伝い出来る調査やサポートをご提案致します。その際、お見積りをご提示致します。
お見積り内容には、調査期間・調査員数・調査方法・調査報告書の作成費などが含まれています。 -
お見積り金額・調査内容に十分ご納得頂けた場合、委任契約のお手続きに入ります。下記書面に署名捺印をして頂き、契約完了となります。書面には、調査目的・期間・費用の詳細・調査結果の報告方法・個人情報の取り扱いなどが記載されています。
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契約書面を基に予備調査、本調査の順に調査を実施します。その際、随時途中経過をご報告致します。追加調査が必要な場合は、都度ご相談下さい。
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全ての調査終了後、書面もしくはデータにて調査報告書を提出致します。必要に応じて各種専門家のご紹介やアドバイスなどのアフターサービスも行なっております。
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